へなちょこ人間の独白

廉司という名前でtwitterを始めました。大学生のブログです。普段考えていることなどを書いています。

クリスマス

そういえば、欧米の大学ではとっくのとおに冬休みに入っている。日本の大学は冬休みは年末年始のちょこっとだけだけど、こちらではクリスマスの2週間くらい前から年明けも2週間くらい、結構長めにある。もちろん我々、留学パイロット訓練生にばけいしょんなど与えられるわけもなく、管制塔が仕事をしてくれる限り訓練を消化しなければならない。

 

こっちの大学は日本と同じように2セメスターあって、秋は8月の終わりの方からクリスマス前まで、春は年明けから5月まで。6月から9月はお休みである。やっぱり体感的には日本の大学より休みが多いような気がする。そもそも大学生のスケジュールで過ごしたことがないので本当には比較できないけれど。きっとこの世間と違ったスケジュールで過ごすというのはパイロットとして暮らす限り定年まで続くんだろうと思う。

 

世間ではクリスマスで胸が躍るようなシーズンを迎えているけれど、パイロットにとってたくさんの人がお休みを取ったり旅行に出かけるような時期は繁忙期なので稼ぎ時だ。人々がお仕事に集中するような時期にふと休暇は与えられる。割と平日の休みが多いんじゃないかと思う。

 

僕の大学生活はほとんど3年生までで完結するんだけど、せっかくなのでそのカリキュラムについて書いておこうと思う。大学生にしては忙しいというか、楽じゃない。誰も努力を認めてくれる人がいないので、自分で自分を慰める意味も込めて吐き出しておきたい。

 

まず1年生、大学生は授業を切るとか、バイトや旅行を優先するなんてことを日常茶飯事のようにやってのけるけど、僕たちにそんなことは通用しない。春セメスターは週何コマか忘れたけどとにかくすべての授業に出席していい成績を取らなければならない。周りの大学生に合わせて遊ぼうとするとかなりスケジュールを圧迫するので体力が必要だ。TOEFLも取らないといけないので早々に取ってしまわないとやる気が減少してきて大変なことになる。パイロットにかかわる授業はより大事にしないといけない。特に管制官の方や現役パイロットの方が授業をしに来てくださっているときは就活が始まっているものだと思って真剣にノートを取ったり話を聞いたりしないと自分の将来に関わる。

 

僕たちに与えられる夏休みは大体3週間くらい。旅行になんて行く暇はないし、免許が取れるわけでもない。僕は古い友達と会ったりしながら地味に過ごしていたと思う。何故そんなに短いのか、それは来る秋セメスターで山のようにある授業を消化しなければならないからだ。毎日4コマ、週20コマをもちろん欠席することなく受け切らなくてはならない。冬休みは2週間くらいあったと思うけどこのペースで3月まで続くのだから浮世離れしている。

 

そんなペースで授業を受けるということはもちろんテストもすごいペースでやってくるというわけだ。毎週1つ以上はテストを受けて受からないとパイロットにはなれない。地元の友達と同じように遊んで飲もうと思うと大変な目に合う。1度二日酔いで寝坊しそうになって、吐き気を抑えながら1.5時間電車に揺られ、道端でげろを吐きながら死に物狂いで1限のためにダッシュしたこともあった。自己管理の重要性を座学のうちから叩き込まれることになった。

 

ついでに自分は頭が弱かったのでホテルのバイトとアマチュアオーケストラも休日にやっていた。どちらもまあまあ体力と精神力を削られるの土日に全く体と心は休まなかった。しかも平日に友達と会って飲んだりしていたのであの頃の自分の体力は信じられない。(その反動で今はほぼ寝たきり生活をしている。)

 

そんなこんなで国家試験を合計で3つ受け(かなり簡単だけど)、全部に当たり前のように合格して授業が終わったと思ったら2週間の休みをもらってすぐにアメリカに留学である。1泊2日で京都に弾丸で行ったけどかなり楽しかった。それ以外にもその2週間は頑張って方々の友達と会いながら毎晩飲み歩き、オケの本番もこなしたりしていた。女の子と食事に行くと払わなければいけないものだと思っていたのでバイト代は気が付けばほとんどなくなっていた。

 

日本の最後の夜はあほみたいに飲んだせいで忘れ物に恐れ慄きながら空港に着き、(クレジットカードなどの大事なものが詰まった財布を家に忘れていたのはいい思い出である)気が付いた時にはこのアパートに辿りついていた。そこから1年半の飛行訓練が始まる。

 

この留学も生易しいものではなく、1年半ぼんやり過ごして終わってくれるようなものではない。座学のテストは毎週のようにあって、約月1のペースでやってくるフライトの試験にも受かっていかないとパイロットにはなれない。苦しいときは時間の流れに身を任すことは許されず、自分で何かを変えて結果を出していかないと苦しさからは逃れられない。

 

この1年半の留学が終わったところで日本に帰ってみると、なんともう大学3年生の半分が終わっているのだ。秋から始まるセメスターでは引き続きシミュレーターの訓練を続けながら就職活動の試験を受け続け、3年生の終わりくらいまでには就職先が決まる。これであっという間に大学生活は終了である。

 

4年生は週に2コマくらい大学に行けばよく、後の時間は大抵の人は失われた青春を取り戻すためにバイトに精を出して精いっぱい遊びまわるんだろう。僕はこの期間の過ごし方については具体的にどうするかはまだ考え中だ。

 

よく考えてみると大学生活の3年間でどんなパイロットになれるのか、どの航空会社で働くことになるのか、その先の約40年くらいの人生の大方が決まってしまう。恐ろしい話だ。

 

こうして振り返ってみると凝縮されたこの人生は効率がいいなと思った。